環境にやさしい無処理版 導入について
このたび当社ではオフセット印刷における刷版(CTPプレート)において「無処理版」を導入します。
これにより廃液がなくなり環境負荷の低減がはかれます。
来年からの全面導入を予定しております。
そもそも刷版とは?
刷版とは、印刷機にセットする大きなアルミのプレート(CTPプレート)を作成する工程のことです。
CTPプレートはオフセット印刷機で印刷を行う際に必要になります。
印刷内容をCTPという機械を使用し、レーザー光でCTPプレートに焼き付けて印刷します。
これがいわゆる刷版とよばれる工程です。
無処理版とは?
【処理】とは【現像処理】のことです。
刷版には有処理版と無処理版の2種類の方法があります。
どちらもCTPプレートに印刷画像を焼き付けるまでは同じですが、
その後の工程で有処理と無処理は異なります。
有処理版は焼き付けた後に現像機で現像処理という工程が必要になります。
その工程で現像液、ガム液を使用するので現像廃液が出ます。
しかし無処理版の場合、現像機を使った処理が不要になるので
処理の為の薬剤(現像液、ガム液)が不要になり、廃液がゼロになります。
無処理版の現像処理は機上現像という方法で行われる為、
露光後の刷版をそのまま印刷に使用することができます。
環境に優しい無処理版
昨年一年間の実績で有処理版での現像廃液が約2,040㎏出ていました。
現像廃液削減装置(濃縮廃液と蒸留水に分離、水は現像機で再利用)を使用しても2t以上の廃液が出ていました。
廃液は下水道では流してはダメなものなので、
特別管理産業廃棄物として法に基づいた廃棄処理を行っています。
無処理版を導入することで、次のメリットがあります。
- 産業廃棄物となる廃液を排出しない。
- 現像機、現像液削減装置を使用しないため電力削減。
- 使用する現像液など薬剤や水のコスト削減。
- 設備の維持にかかる労力が減少。
品質への影響は?
過去、無処理版は耐刷性に劣る(=たくさんの量を刷ると版が傷みやすい)、版上の絵柄の視認性が劣る(=版取り違えのリスクあり) などいくつか問題がありました。
しかし、無処理版のバージョンがあがるにつれそういった問題も解消されました。
また印刷工程への影響ですが、当社内でも何度も試作を行い品質への影響がないことは確認済みです。
今後も環境負荷の低減につとめてまいります。
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